
月末になるたびに、レセプト確認のために診療録をさかのぼったり、医師へ確認事項をまとめて聞いたりしていないでしょうか。
結論からいうと、訪問診療のレセプト業務は、月初にまとめて片づけるよりも、「その日に確定できること」「週単位で解消すること」「月末に確定すること」へ分けたほうが回しやすくなります。
- 毎日:診療記録と請求に必要な情報の抜けを、その日のうちに見つける
- 毎週:未解決の確認事項をためず、担当者と期限を決めて解消する
- 月末〜月初:1か月分を集計し、レセプト作成・点検・オンライン請求につなぐ
本記事の情報基準日は2026年9月28日です。
月初の忙しさは、翌月10日より前に決まる
オンライン請求は毎月10日までが基本
社会保険診療報酬支払基金は、医療機関のオンライン請求について、原則として毎月5日から10日に受け付ける運用を案内しています。請求期日は10日で、受付・事務点検ASPの結果を確認した後の訂正は12日まで可能です。
社会保険診療報酬支払基金「保険医療機関・保険薬局及び訪問看護に係るオンライン請求」
ただし、「10日までに送ればよい」と考えると、仕事が月初へ集中しやすくなります。月初に初めて不明点を見つけると、診療から時間がたっているため、記録を読み直し、当時の状況を確認する作業が増えます。
月末にまとめるほど、確認の往復が増える
訪問診療では、資格情報、診療録、実施した診療内容、入退院などの患者情報が、請求担当へつながっている必要があります。
MINORASでレセプト実務を整理してきた中でも、病名、資格・公費、診療時間、点滴・注射・処置など、請求直前に初めて確認すると手戻りが大きくなりやすい項目が複数あります。
こうした確認の往復が月末・月初に集中すると、診療録の読み直しや医師への再確認、修正作業が重なり、担当者の負担が静かに積み上がります。確認する余力が削られると、請求前に拾うべき不備の見落としや対応遅れにつながり、返戻・査定につながる不備を見逃す要因にもなり得ます。
重要なのは、毎日レセプトを完成させることではありません。「後から聞き直す必要がある情報」を早い段階で見つけることです。
毎日終わらせるのは「記録の抜け」を見つけるところまで
診療した日の情報を、その日のうちに確認対象へする
日次で行いたいのは、請求内容を確定する作業ではなく、診療記録に不足がないかを確認する作業です。
たとえば、次のような情報です。
- その日に行った診療・処置・検査などの記録
- 処方や指示に関する記録
- 資格情報の変更
- 入院・退院など診療継続に影響する情報
- 請求担当が読んでも判断できない箇所
請求担当者が記録から判断できない箇所は、過去の請求や経験則で補わず、確認待ちとして残します。日次点検の目的は、その場で正解を出し切ることではなく、推測が必要な箇所を早く見つけ、医師確認や一次情報の確認へつなぐことです。
不明点は「あとで見る」ではなく、その場で印を付ける
日次点検で不明点が見つかったら、その日のうちに解決できなくても構いません。
ただし、「あとで確認する」と頭の中に残すのではなく、確認待ちの一覧へ載せるところまでを日次業務にします。
最低限、次の4点を残しておくと、週次確認へつなぎやすくなります。
- 対象日
- 確認したい内容
- 誰に確認するか
- いつまでに確認するか
これだけでも、月末に診療録を一から読み返す作業を減らせます。
週1回、未解決の確認事項をまとめて潰す
週次で見るのは「件数」より「未解決」
週1回の確認では、レセプトを全部点検する必要はありません。
見るべきなのは、日次で拾った確認待ちが残っていないかです。
未解決の項目が増えているなら、担当者の能力ではなく、確認の流れに詰まりがないかを見ます。
たとえば、医師への確認が週末まで残り続けるなら、質問する時間帯や質問方法を変える余地があります。資格情報の変更が遅れるなら、誰が変更を見つけ、誰がレセコンへ反映するかを決め直します。
医師への確認は、一件ずつではなく決まった形でまとめる
医師へ確認するときは、「これどうしますか」と聞くだけでは往復が増えます。
確認事項ごとに、
- どの患者・どの日付か
- 何が分からないか
- どの記録を確認したか
- 何を回答してほしいか
をそろえて渡します。
ここを院内の型にすると、担当者が変わっても同じ確認方法を使えます。
月末は「新しく調べる日」ではなく「そろっているか確認する日」
月末に確認するのは、1か月分のつながり
月末は、日次・週次で処理した情報が1か月分そろっているかを見る段階です。
たとえば、
- 診療した患者が請求対象に反映されているか
- 資格変更が反映されているか
- 確認待ちが残っていないか
- 必要な記録と請求情報がつながっているか
を確認します。
月末になって初めて「この日の診療は何をしたのか」「この資格変更はいつからか」を調べ始める状態なら、日次・週次のどこかで拾えていない可能性があります。
制度の変更は月末にまとめて追わない
2026年度は、診療報酬改定後も疑義解釈が継続して追加されています。厚生労働省の令和8年度改定ページでは、2026年9月25日付の「疑義解釈資料の送付について(その13)」まで掲載されています。
制度変更を月初の請求時に初めて読むのではなく、影響する項目だけを週次で確認し、院内の確認ルールへ反映しておくほうが安全です。
5日〜10日は提出前の最終確認に使う
受付・事務点検ASPは提出前の確認に使える
オンライン請求では、受付・事務点検ASPを使って、事務的な記録誤りなどを事前に確認できます。
支払基金は、10日までに送信したレセプトについて、ASPの結果確認後に12日まで訂正できる運用を案内しています。
これは、日次・週次の点検が不要になるという意味ではありません。提出直前の段階で見つけられるエラーと、診療記録まで戻らなければ分からない確認事項は別だからです。
月初は「修正」より「確定」に寄せる
理想は、月初5日〜10日の仕事を、過去1か月分の情報収集ではなく、
- レセプト作成
- 最終点検
- ASP結果の確認
- 必要な修正
- 請求確定
へ寄せることです。
月初の残業を減らすために最初に見るべきなのは、点検速度ではなく、月末までに未解決をどれだけ残しているかです。
日・週・月の役割を一つの表にする
担当者と締切を並べる
院内で使う管理表は複雑である必要はありません。
時点 | 主な目的 | 確認するもの | 終了条件 |
|---|---|---|---|
毎日 | 情報の抜けを早く見つける | 診療記録・資格変更・確認待ち | 不明点が一覧へ載っている |
毎週 | 未解決を減らす | 医師確認・資格反映・処理待ち | 担当者と期限が決まっている |
月末 | 1か月分をそろえる | 請求対象・変更反映・未解決 | 新しい調査がほぼ残っていない |
5日〜10日 | 提出を確定する | レセプト・ASP結果 | 修正と請求確定が終わっている |
この表を自院の電子カルテ、レセコン、担当人数に合わせて調整します。
一番避けたいのは、「経験者が分かっているから大丈夫」という状態です。担当者が休んだときにも同じ流れで確認できるよう、作業の区切りを残しておくことが重要です。
よくある質問
Q. 毎日レセプト点検をしなければいけませんか
毎日すべてのレセプトを完成させる必要はありません。日次では、後から確認が必要になる情報の抜けを早く見つけることを目的にします。最終的なレセプト作成・点検は月次で行いながら、不明点だけを前倒しで解消する考え方です。
Q. 医師への確認は毎日行ったほうがよいですか
院の診療件数や体制によります。大切なのは、確認事項を放置しないことです。日次で拾い、週1回など決まった頻度でまとめて確認する方法でも運用できます。
Q. 月初の残業が多い場合、何から見直せばよいですか
まず、月初に行っている作業を「その日でしかできない仕事」と「本来は日次・週次でできた仕事」に分けます。診療録の読み直しや資格変更の確認、医師への問い合わせが大量に残っている場合は、日次・週次へ移せる可能性があります。
Q. オンライン請求の締切を過ぎたらどうなりますか
支払基金は、請求期日である10日を過ぎた場合、原則として翌月5日以降に月遅れ分として請求する案内を出しています。個別の事情やシステム障害時の取扱いは、審査支払機関の最新案内を確認してください。
本記事は2026年9月28日時点の告示・通知・公的機関の案内に基づいています。
記載の内容は一般的な情報提供です。個別の医療機関における算定の可否は、届出の状況・患者の状態・院内の運用によって異なります。実際の請求にあたっては、必ず一次資料および管轄の審査支払機関の取扱いをご確認ください。
執筆・運営:MINORAS株式会社 今井 稔
レセプト業務を月末に集めず、院内で日・週・月の役割を整理したい場合は、MINORASへお問い合わせください。
在宅医療・訪問診療クリニックのレセプト業務を担当するチームです。算定、返戻・査定対応、月次点検の実務に携わりながら、院内で判断に迷いやすい場面を記事として整理しています。制度に関する記載は一次情報を確認し、医療実務責任者の確認を経て公開しています。


