レセプトの重複請求は、保険が変わったときに起きる

公開日 MINORAS 医療実務チーム
レセプトの重複請求は、保険が変わったときに起きる

同じような返戻を、何度も受けていませんか。

月の途中で患者の資格が変わったとき、レセプトを2枚に分けるのか1枚のままにするのかは、決まっています。 ここを取り違えると返戻になり、出してしまったあとは取下げの手続きが要ります。慌てて出し直す前に、まず「分けるべきだったのか」を確かめてください。

  • 主保険が変わったら2枚、それ以外は1枚が原則です
  • 取り違えて出したあとは、取下げの手続きがあります
  • 当月分と前月以前分で、やることが変わります

本記事は2026年8月28日時点の告示・通知・疑義解釈に基づいています。

分かれ目は「主保険が変わったかどうか」

月の途中で患者の資格が変わったとき、レセプトを何枚で出すのかについて、支払基金はよくあるご質問で次のように案内しています。

主保険の変更があった場合は2枚、それ以外は1枚です

何が変わったか

レセプト

主保険が変わった(保険者番号が変わる)

2枚に分けて、それぞれ別のレセプトで請求します

記号・番号だけが変わった/公費負担番号が変わった/新たに公費を取得した

分ける必要がなく、1枚で請求します

支払基金の説明では、主保険が変わった場合は「主保険の保険者番号が異なりますので保険者番号ごとに、2枚に分けてそれぞれ別のレセプトで請求します」とされています。2枚出すこと自体は誤りではなく、むしろ正しい処理です。

問題になるのは、この判断を取り違えたときです。 分けるべきでないものを分ければ重複請求として返戻されますし、分けるべきものを1枚で出せば、やはり内容が合わなくなります。

2枚に分けるときの、もう1つの注意

主保険が変わって2枚に分ける場合、変更後のレセプトで初診料を算定しないよう気をつけてください。

支払基金は「変更後レセプトの診療開始日は変更後の受診日ですが、診療は変更前から継続しているため初診料ではなく再診料を算定します」と案内しています。あわせて「診療開始日と基本診療料の不一致になりますので摘要欄に月途中で資格変更があった旨の記載をお願いします」とされています。

分けたあとの中身まで含めて1組の手続きだと考えておくと、返戻を減らせます。

取り違えて出してしまったときは、取下げになる

支払基金は再審査請求(取下げ)の方法で「保険請求した後に労災等への資格の変更があった場合等は、保険者等に対して明細書の取下げを行うこととなります」と案内しています。請求を出したあとで資格の状況が変わったときは、出し直しではなく取下げから入るという整理です。

ここで押さえておきたいのが、取下げと再審査請求は別の手続きだという点で、再審査請求は「審査結果に異議がある場合」に行うものであり、審査の判断そのものに対する申し立てにあたります。取り違えると、必要な処理が進まないまま時間が過ぎてしまいます。

当月分と、前月以前分で手続きが違う

支払基金の案内では、取下げの手続きが提出時期で分かれています。

いつの分か

手続き

当月分

取下げ期限日までに再審査等請求書を提出する

前月以前分

オンライン請求システム、または郵送で提出する

オンライン請求を行っている医療機関については、同じ案内で「オンライン請求医療機関等(訪問看護ステーションを除く)は、原則、オンライン請求システムによりご提出をお願いします」とされています。

支払基金では、この取下げ依頼に使う様式を再審査等請求書(様式集5)としており、紙でのダウンロードのほかに、オンラインでの提出もできます。オンラインの場合は「医療機関再審査等請求ファイル作成ツール」で請求ファイルを作り、オンライン請求システムから送信する流れです。

⚠️ 国民健康保険団体連合会は都道府県ごとに置かれており、様式や手順の案内は別々です。 国保のレセプトについては、加入されている連合会の案内をご確認ください。

翌月から減らすために決めておくこと

取り違えが起きるのは、資格が変わったという情報が、レセプトを作る人に「どう変わったか」まで届いていないときです。院内で決めておきたいのは次の3つです。

  1. 資格の変化を、いつ・誰が確認するか(月初にまとめてか、来院のたびか)
  2. 🔴 変わったのが「主保険」なのか「記号・番号だけ」なのかを、伝える時点で区別する(ここが枚数の分かれ目です)
  3. 同じ事由の返戻が続いていないかを、月に一度は並べて見る

2つ目がこの記事の要点です。「保険が変わりました」だけでは、レセプトを作る側は枚数を判断できません。保険者番号が変わったかどうかまで伝わって、初めて分けるか分けないかが決まります。

3つ目も効いてきます。返戻は1件ずつ処理していると、同じ原因で繰り返していることに気づけませんが、月ごとに事由を並べてみると、直すべきなのが個別のレセプトなのか、院内の段取りなのかが見えてきます。

よくある質問

Q. 主保険が変わったかどうかは、どこを見れば分かりますか。

保険者番号が変わっているかどうかが分かれ目です。支払基金の案内でも「主保険の保険者番号が異なりますので保険者番号ごとに」と説明されています。記号・番号だけが変わっている場合は、分ける必要がありません。

Q. 2枚に分けたとき、変更後のレセプトは初診料になりますか。

いいえ。支払基金は「診療は変更前から継続しているため初診料ではなく再診料を算定します」と案内しています。あわせて摘要欄に月途中で資格変更があった旨を記載します。

Q. 取下げと再審査請求は、どちらを選べばよいですか。

支払基金の案内では、資格の変更などがあった場合は取下げ、審査結果に異議がある場合は再審査請求と整理されています。どちらに当たるか判断がつかない場合は、提出先にご確認ください。

Q. 取下げの様式はどこにありますか。

支払基金では再審査等請求書(様式集5)として配布されており、オンラインでの提出もできます。国民健康保険団体連合会は連合会ごとに案内が異なるため、国保のレセプトについては加入されている連合会をご確認ください。


本記事は2026年8月28日時点の告示・通知・疑義解釈に基づいています。

記載の内容は一般的な情報提供です。個別の医療機関における算定の可否は、届出の状況・患者の状態・院内の運用によって異なります。実際の請求にあたっては、必ず一次資料および管轄の審査支払機関の取扱いをご確認ください。

執筆・運営:MINORAS株式会社 今井 稔


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MINORAS 医療実務チーム

在宅医療・訪問診療クリニックのレセプト業務を担当するチームです。算定、返戻・査定対応、月次点検の実務に携わりながら、院内で判断に迷いやすい場面を記事として整理しています。制度に関する記載は一次情報を確認し、医療実務責任者の確認を経て公開しています。