レセプトの査定理由A・B・C・Dとは?増減点連絡書の見方

公開日 MINORAS 医療実務チーム
レセプトの査定理由A・B・C・Dとは?増減点連絡書の見方

増減点連絡書に「A」「B」「C」「D」と書かれていて、何を意味するのか分からず困ったことはありませんか。

A〜Dは査定の重さを表すランクではなく、査定理由の種類を示す記号です。 まず記号で理由の大枠をつかみ、次に増減点連絡書の内容と一次資料を照合すると、確認する場所を絞れます。

  • A=医学的に保険診療上の適応とならないもの
  • B=医学的に過剰・重複となるもの
  • C=A・B以外で医学的に適当でないもの
  • D=告示・通知の算定要件に合致しないもの

※この記事は2026年9月16日時点の公表資料に基づいています。

A・B・C・Dは、査定の「ランク」ではなく理由の区分

社会保険診療報酬支払基金は、増減点事由等の記号凡例(https://www.ssk.or.jp/seikyushiharai/mikata/seikyushiharai_04.files/seikyushiharai_04_02.pdf)でA〜Dをそれぞれ異なる査定事由として示しています。Aが軽くDが重い、といった順番ではありません。

Aは、医学的に保険診療上の適応とならないもの

Aは、療養担当規則等に照らして医学的に保険診療上の適応とならないと判断された場合の区分です。

東京都医師会の保険診療の手引(https://www.tokyo.med.or.jp/wp-content/uploads/doctor/practicing_docs/application/pdf/hoken-manual_r6.pdf)では、薬剤や診療行為の適応、病名の抜けや誤りなどが例として挙げられています。ただし、Aと表示されたからといって「病名漏れ」と決めつけず、実際に査定された項目を確認します。

Bは、医学的に過剰・重複となるもの

Bは、療養担当規則等に照らして医学的に過剰・重複となると判断された場合の区分です。

投薬量や検査回数などが論点になることがありますが、ここでも記号だけで具体的な理由を断定せず、どの診療行為が査定されたのかを先に確認します。

Cは、A・B以外で医学的に適当でないもの

Cは、A・B以外の医学的理由で、保険診療上適当でないと判断された場合の区分です。

AやBのように「適応」「過剰・重複」と一言で方向を絞りにくいため、査定された診療行為と診療録を見直し、何が判断材料になったのかを整理する必要があります。

Dは、告示・通知の算定要件に合致しないもの

Dは、告示・通知に示された算定要件に合致していないと認められた場合の区分です。

医学的な適否ではなく算定要件が入口になるため、まず該当する点数表・告示・通知を確認します。ただし、Dだから理由が一意に決まるわけではありません。どの項目が査定されたかを特定してから一次資料に当たります。

記号だけでは、査定された具体的な理由までは分からない

支払基金の審査・支払業務の流れ(https://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/gyomuflow/index.html)では、審査によって請求点数に増減が生じた場合に増減点連絡書を作成し、増減点数やその理由を医療機関へ知らせると説明されています。

A〜Dは確認の入口です。個別のレセプトで何が起きたのかは、増減点連絡書の中身まで見ないと判断できません。

増減点連絡書の「請求内容」と「補正・査定後内容」を見比べる

支払基金の増減点連絡書・各種通知書の見方(https://www.ssk.or.jp/seikyushiharai/mikata/seikyushiharai_04.html)を手元に置き、まず査定された行を特定します。

見る順番を固定すると、確認が早くなります。

  1. 査定理由の記号=A・B・C・Dのどれか
  2. 査定された項目=診療行為・薬剤・点数のどこが変わったか
  3. 請求内容と査定後内容の差=何が削除・変更されたか

この3つをそろえてから、点数表や通知、診療録を確認します。

A〜D以外にF・G・H・Kなどの事務上の記号もある

増減点事由の記号はA〜Dだけではありません。支払基金の記号凡例には、事務上の事由としてF=固定点数の誤り、G=請求点数の集計誤り、H=縦計計算の誤り、K=その他も掲載されています。

つまり、通知にアルファベットがあるからといって、すべてが医学的な査定というわけではありません。

査定を見つけたら、3つの順番で確認する

査定を見つけたあとの3つの確認手順(記号で理由の大枠をつかむ、査定された項目を特定する、一次資料と院内記録を照合する)

1. 記号で理由の大枠をつかむ

A〜Dの定義を見て、医学的な適応なのか、過剰・重複なのか、その他の医学的理由なのか、算定要件なのかを分けます。

2. 査定された診療行為・薬剤・点数を特定する

次に増減点連絡書を見て、どこが変わったのかを特定します。記号だけを見て原因を推測すると、別の論点を調べ続けることになります。

3. 点数表・通知などの一次資料と院内記録を照合する

Dなら算定要件、A〜Cなら医学的な適応や診療内容が主な確認先になります。診療録や処方内容も合わせて確認し、請求内容とのずれを整理します。

支払基金の帳票はオンライン請求システム(https://www.ssk.or.jp/smph/seikyushiharai/iryokikan/oshirase_0511_1.html)で毎月5日頃に配信され、支払関係帳票は当月と過去11か月分をダウンロードできます。査定を翌月以降に持ち越さないよう、月次で確認する運用にしておくと見落としを減らせます。

A〜Dが分かると、次に調べる場所を絞れる

A〜Dを覚える目的は、記号を暗記することではありません。

Aなら適応、Bなら過剰・重複、Cならその他の医学的理由、Dなら算定要件——ここまで分かれば、次に開く資料と確認する記録を絞れます。

増減点連絡書を見たら、記号だけで結論を出さず、「どの項目が」「どう変わったか」まで確認してから原因を追う。これが査定対応の出発点です。

よくある質問

Q. A査定は、病名漏れという意味ですか

A. A=病名漏れ、と一対一ではありません。 Aは「医学的に保険診療上適応とならないもの」という区分です。東京都医師会の手引では病名の抜け・誤りも例示されていますが、薬剤や診療行為の適応なども含まれます。実際に査定された項目を確認してください。

Q. D査定なら、算定ルールを見れば理由が分かりますか

A. Dは告示・通知の算定要件に合致していないと認められた区分なので、一次資料を確認する方向は絞れます。ただし、どの要件に当たるかは査定された項目ごとに確認が必要です。

Q. 査定に納得できない場合はどうしますか

A. 査定と返戻は別です。支払基金は、診療内容が適切でないと判断したものを査定し、適否が判断し難いものなどは返戻して再提出を求めています。査定内容について疑義がある場合は、まず増減点連絡書と一次資料を照合し、必要に応じて審査支払機関への照会や再審査請求を検討します。

本記事は2026年9月16日時点の公表資料に基づいています。

記載の内容は一般的な情報提供です。個別の医療機関における算定の可否は、届出の状況・患者の状態・院内の運用によって異なります。実際の請求にあたっては、必ず一次資料および管轄の審査支払機関の取扱いをご確認ください。

執筆・運営:MINORAS株式会社 今井 稔

WRITER
MINORAS 医療実務チーム

在宅医療・訪問診療クリニックのレセプト業務を担当するチームです。算定、返戻・査定対応、月次点検の実務に携わりながら、院内で判断に迷いやすい場面を記事として整理しています。制度に関する記載は一次情報を確認し、医療実務責任者の確認を経て公開しています。