
令和8年度改定後も、月2回訪問した患者なら従来どおり在医総管・施医総管の「月2回以上」の区分で算定できると考えていませんか。
結論からいうと、令和8年度改定では、月2回以上訪問する一部の区分について、直近3か月の実績を使った重症患者等の割合基準が追加されました。基準を満たさない場合は、対象となる月2回区分ではなく月1回訪問の区分を算定します。
- 対象は「月2回以上訪問」の一部区分で、難病等の区分そのものとは別に確認する
- 直近3か月の延べ診療月数が30月未満なら、2割計算とは別の基準で扱う
- 30月以上の場合は、重症患者等に該当する延べ診療月数の割合が2割以上かを確認する
本記事の情報基準日は記事公開日です。
令和8年度改定で「月2回訪問したか」だけでは足りなくなった
新しい基準は在医総管・施医総管の注16
厚生労働省は令和8年度改定で、在医総管・施医総管の「月2回以上訪問診療を行っている場合(難病等を除く)」の算定について、新しい基準を設けました。
点数表では、在医総管の注16として、対象となる月2回以上の区分について基準を満たさない場合は、対応する月1回訪問の区分を算定すると定めています。施医総管にもこの規定が準用されます。
まず直近3か月の「延べ診療月数」を確認する
30月未満なら2割計算を行う区分ではない
施設基準通知では、次のいずれかに該当することが基準です。
- 直近3か月に、在宅患者訪問診療料を月2回以上算定する患者の延べ診療月数が30月未満
- 30月以上であり、所定の分子÷分母が2割以上
厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」
ここで数えるのは単月の患者頭数ではなく、直近3か月の延べ診療月数です。
たとえば、同じ患者が3か月連続で対象になれば3月として数えます。
30月以上なら「分子÷分母が2割以上」を確認する
分母は月2回以上の訪問診療等の延べ診療月数
分母には、直近3か月の
- 在宅患者訪問診療料を月2回以上算定する患者
- 在宅がん医療総合診療料を算定する患者
の延べ訪問診療月数を使います。
分子には重症患者等を入れる
分子には、主に次の延べ診療月数を合計します。
- 在医総管・施医総管の「別に厚生労働大臣が定める状態の患者」に月2回以上訪問した算定回数
- 月2回以上の訪問診療を行い、包括的支援加算を算定する患者の延べ訪問診療月数
- 在宅がん医療総合診療料を算定する患者の延べ訪問診療月数
厚生労働省の改定資料では、「別に厚生労働大臣が定める状態の患者」は別表第8の2、包括的支援加算の対象患者は別表第8の3として整理されています。
60月なら12月以上が一つの目安
分母が60月であれば、2割は12月です。
ただし、実際の判定では後述する分母から差し引けるケースもあるため、単純な人数表だけで決めないようにします。
分母から差し引けるケースもある
厚生労働省の改定資料では、4か月前から1年前までの間に3か月以上連続して訪問診療を行った後、直近3か月のうち1か月以上を含む連続した3か月に自院の外来を受診した患者がいる場合、その患者数に3月を乗じた月数を分母から差し引ける取扱いが示されています。
この例外を見落とすと、自院の割合計算が変わる可能性があります。
基準は年4回確認する
2月・5月・8月・11月に確認する
厚生労働省の改定資料では、この基準の該当可否を毎年2月、5月、8月、11月に確認し、変更がある場合は同月中に速やかに届出を行うとされています。
地方厚生局でも、令和8年度の「在医総管3」として注16の基準に関する届出様式を案内しています。
また、令和8年8月には、在医総管・施医総管を届け出ている医療機関を対象に定例報告が案内されています。
MINORASでは、この改定を月末の患者単位チェックだけで処理せず、直近3か月の集計→基準判定→届出状態→当月の算定区分を分けて確認する必要がある論点として捉えています。
よくある質問
Q. 月2回訪問した患者が全員、この2割要件の対象ですか
いいえ。点数表で注16の対象として指定されている月2回以上の区分について確認します。「別に定める状態の患者」に対する区分など、別の区分もあります。
Q. 患者数が少ないクリニックでも2割以上必要ですか
直近3か月の月2回以上訪問患者の延べ診療月数が30月未満であれば、「30月未満」という基準に該当します。30月以上の場合に2割の割合計算を確認します。
Q. 2割を下回ったら在医総管・施医総管そのものが算定できなくなりますか
注16の対象区分について基準を満たさない場合は、対応する月1回訪問の区分を算定する仕組みです。在医総管・施医総管全体が一律に算定不可になるという意味ではありません。
Q. いつの患者数を集計すればよいですか
直近3か月の延べ診療月数で確認します。さらに、基準該当可否は2月・5月・8月・11月に確認する運用が示されています。
本記事は記事公開日時点の告示・通知・疑義解釈に基づいています。
記載の内容は一般的な情報提供です。個別の医療機関における算定の可否は、届出の状況・患者の状態・院内の運用によって異なります。実際の請求にあたっては、必ず一次資料および管轄の地方厚生局・審査支払機関の取扱いをご確認ください。
執筆・運営:MINORAS株式会社 今井 稔
令和8年度改定後の在医総管・施医総管について、患者単位の確認と施設基準の集計を分けて整理したい場合は、MINORASへお問い合わせください。
在宅医療・訪問診療クリニックのレセプト業務を担当するチームです。算定、返戻・査定対応、月次点検の実務に携わりながら、院内で判断に迷いやすい場面を記事として整理しています。制度に関する記載は一次情報を確認し、医療実務責任者の確認を経て公開しています。


